第14回 地域活性化フォーラム 開催報告
- 日時:
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平成26年2月24日(月)14:30~17:30
- 会場:
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岡崎市図書館交流プラザ りぶら ホール
- 参加者:
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98名
Ⅰ. オープニングセレモニー
- 主催者挨拶
- 岡崎大学懇話会 長柄孝彦 会長
- 岡崎商工会議所 古澤武雄 会頭(NPO法人21世紀を創る会・みかわ 会長)
- 岡崎市 経済振興部 金森 隆 部長
Ⅱ. 研究発表
5組の研究者が研究結果を報告しました。参加者からの質問も多く、活発な意見交換が行われました。
【研究発表(1)】
「岡崎市内の高校・大学における体系的環境教育カリキュラムの提案」
人間環境大学 藤井 芳一 助教(専門:土壌生態毒性学)
社会人として必要な環境課題対応能力を養成するため、岡崎市の『環境学習プログラム』の発展的事業としての高校・大学における環境教育カリキュラムの在り方を検討しました。また、水環境を中心とした共通フィールドを設定するなど、岡崎市の地域特性を生かした環境教育カリキュラム構築も意識しつつ、その枠組みを提示しました。
【研究発表(2)】
「地域における子育て家庭の状況及び需要に関する発達的変化の実態調査」
岡崎女子大学 小原倫子 准教授(代表)(専門:発達心理学、臨床心理学)
子育ての孤立感や負担感に関する保護者の心理的課題や子どもの発達に応じた保護者の子育てに関する需要の変化をきめ細かく把握することが、地域の子育て支援の実践に必要と考えられます。そのため、「親と子どもの発達センター」(大学付属施設)の利用者を対象に、アンケートやインタビューにより、地域における子育て家庭の状況及び需要に関する発達的変化の実態調査を行い、調査結果を発表しました。
【研究発表(3)】
「学生の長期実践型インターンシップ参加における事例研究」
岡崎女子短期大学 河合 晋 准教授(専門:会計学)
学生の就業意識の向上や起業家育成に有効であると期待される、長期実践型インターンシップの先行事例として、NPO法人G-netの取り組みや岐阜大学等とのコラボレーションの状況およびその効果を検証しました。また、NPO法人コラボキャンパス三河(インターンシップをコーディネートする機関)の今年度の取り組みを紹介し、岡崎市における学生の長期インターンシップ定着の可能性についての検討結果について発表されました。
【研究発表(4)】
「乙川リバーフロント周辺の回遊性・にぎわいの創出へ向けた提言」
愛知産業大学 宇野勇治 准教授(専門:建築設計、建築環境工学)
優れた自然景観や歴史景観を有する岡崎中心部を流れる乙川と周辺地域を将来にわたる岡崎のシンボルとして、他都市にはない個性的な魅力をもった空間として発展させるため、対象地域の特徴や課題について整理を行い、回遊性やにぎわいの創出に向けての方策を検討しました。市内の森林資源、伝統的な技術や地域的な素材を活かした革新的な都市空間を構想し、古くて新しい都市イメージを、ビジュアルに表現しました。
【研究発表(5)】
「若年層からみる岡崎中心市街地の魅力 その2(東岡崎駅を起点として)」
愛知学泉大学
上田 裕 教授 (専門:文化社会学)
龍田建次 准教授 (専門:情報システム工学)
丹羽誠次郎 教授 (専門:現代美術)
「岡崎のまちを歩く楽しさと川を考える」をテーマに大学生たちが岡崎中心市街地のフィールドワークをおこないました。ここから得られた調査結果と、学生たちの「まち」の活性化案をもとに、「川」「道」「橋」の持つ機能と意味の転換をはかり、「ヒト」と「ヒト」との出会いを軸とした「弱連結型weak tiesのネットワーク」が「まち」を活性化しうることを提案しました。
【交流会】
研究発表された先生方を囲んで、交流会を行いました。 和やかな雰囲気の中、今回の研究内容などについて、参加者同士、意見交換をされました。
第25回 「21世紀交流サロン・葵丘」
- 日時:
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平成25年9月4日(水)18時~20時30分
- 会場:
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葵丘
- 内容:
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Ⅰ.アーティストトーク(18時~19時)
- 作品展「岡崎アート・コネクション」の出品者による作品の解説。
- ゲスト:
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愛知産業大学 大野幾生 氏、加藤國男 氏、松浦主税 氏
愛知学泉大学 加藤マンヤ 氏、丹羽誠次郎 氏、古山庸一 氏
岡崎女子大学 佐善 圭 氏(順不同・敬称略)
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Ⅱ.交流会(19時10分~)
- 参加者:
- 25名
前半のアーティストトークでは、作品展「岡崎アート・コネクション」の出品作家の先生方より、それぞれご自身の作品や制作活動についてお話しいただいた。
後半は、ホールに場所を移して交流会を開催した。和やかな雰囲気の中、参加者同士の情報交換が行われた。
<アーティストトーク概略> ※発表順
- ●岡崎女子大学 准教授 佐善 圭 先生
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大学時代は黒御影をほっていたが、イタリアの工房で大理石の彫刻に触れたのがきっかけで、大理石の彫刻に転向した。
「薄光のゆくえ」という作品は、イタリア産のアラバスタという石を使っている。やわらかい材質で、うっすらと光を通す特徴がある。ダイヤモンドのカッターで、細いのみで彫り、仕上げはやすりで行う。東京の現代彫刻美術館にも同じコンセプトの等身大ほどの大きな作品が収蔵されている。
「光の華」はユーゴスラビア産の石を使っている。これもやわらかい石だが、ねばりがあり、木彫のような扱いで加工ができる。
- ●愛知産業大学 教授 大野幾生 先生
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石を彫りはじめて40年ほど。石は外形を加工するものだが、8年ぐらい前から鉄筋の構造材に注目するようになった。
12年ごとで個展を開いている。
近年は生活の中で楽しめる彫刻というコンセプトで、アルミの鋳造と組み合わせた照明器具や門扉などを製作している。
- ●愛知産業大学 松浦主税 先生
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自然と鳥をモチーフにすることが多い。
描く前に現地へ取材に訪れる。
「澄明」は北海道の釧路湿原の一部分でみた景色を描いたもの。冬の早朝、マイナス13度の気温の中、画面の奥側が東で、ちょうど日が昇ってくるところ。
- ●愛知学泉大学 古山庸一先生
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絵をかくことというより、色を塗ったり、削ったりすることが好き。描いて、翌日見直すときにいらなかったり、なかなか作品という形で完成しない。
平面的な形が好き。
手を動かして、気持ちいい線が描きたいと思っておしりを描いたみた。
エロティックなおしりを描いてみたが、おもしろくなかったのでやめた。
「りしりしりしりし」ネガとポジのせめぎ合い。
「ほ・し・り」星を見上げるおしりとおしりをみつめるほし。
- ●愛知産業大学 加藤國男 先生
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タブララサというタイトルはラテン語で制作中聴いていたCDのタイトル。
書きなぐる感じで描き、その一部分を小さく切り取って、下絵とする。
糸を染めて、それを14本ずつ縒り合せ、織る。制作には1年半くらいかかる。
作品の「忘れえぬ記憶」には、災害の記憶を風化させてはいけないという思いが込められている。
- ●愛知学泉大学 丹羽誠次郎 先生
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作品は「不毛」といった意味で、自分のうしろむきな特性が表れている
学生時代は「油絵科」に所属していた。自分が見たものを過不足なく、絵に収めたいという思いがあったが、思うように絵が描けず、絵をかくのをやめ、油絵具も友人に譲ってしまった。
絵を描かないで、理想の絵画空間を表現したい。自分が見ているということが邪魔になる。
現在作っている作品は、厳密にいうと自分で作ってはいない。オブジェの図面を引き、つくってもらい、写真も自分でディレクションだけして、信頼できるプロのカメラマンに依頼して撮ってもらった。
暗渠 人にみられずに存在している存在を表現したい。
目の見えない人の絵画がコンセプト。見ることなしに感じている。
オブジェはオブラートをつまむようなイメージ。
写真はクリムトの作品「ダナエ」をイメージした。
- ●愛知学泉大学 加藤マンヤ 先生
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日常にあるものを視点をかえてみると結構面白いものがある。
「錬金術師」は「笛が鳴るヤカンって面白いじゃんっ!」と思ったのがきっかけ。ほかにフルートのバージョンなどもある。
名画を並べた「視力検査」には、人物のバージョンもあり、それには2.0(一番見えにくい)の部分に自分の子どもの写真を載せている。
「メビウス」について、セロハンテープは安価な材料だが、それを作品ということで展示すると、値段がセロハンテープそのものより高くなる。現代アートの詐欺性みたいなものを表現したかった。加工方法は企業秘密。
- ・岡崎女子短期大学 横田典子 先生(コメントを読む形で佐善先生が代理で説明)
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「つちびと」は土と人が一緒になって作りたいという思い。円筒の形にした土を自重で倒れるまで積み上げる。土がなりたい形になるように、人が手助けをするイメージで制作している。
- ・岡崎女子短期大学 米窪洋介 先生(同上)
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光や水などをモチーフにすることが多い。「すいれん」は水が流動していく形を透かし彫りで表現した。
第24回 「21世紀交流サロン・葵丘」
- 日時:
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平成25年7月17日(水)18時~20時30分
- 会場:
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葵丘
- 内容:
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Ⅰ.スピーチタイム(18時~19時)
- テーマ:
- 現代アートとまちづくり
- ゲスト:
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愛知学泉大学 教授 丹羽誠次郎氏
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Ⅱ.交流会(19時~)
- 参加者:
- 23名
前半のスピーチタイムでは、ゲスト:愛知学泉大学 丹羽誠次郎教授より、現代アートとまちづくりの関連性について講演いただいた。
後半は、ホールに場所を移して交流会を開催した。和やかな雰囲気の中、参加者同士の情報交換が行われ、岡崎大学懇話会所属の教授等(美術作家)による作品展開催の構想が生まれた。
<講演概略>
●現代アートとまちづくりの関連性
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近年、アートが地域住民を対象とした地域活性化という意味合いだけでなく、来街者に向けたアート(観光資源としてのアート)といった特性を帯びてきている。岡崎であいちトリエンナーレが行われることは、まちの活性化の起爆剤となりうる。
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「トリエンナーレ」は、3年に一度という意味の芸術祭で、日本国内では1990年年代の後半からブームになっている。2000年に新潟県で開催された「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」は過疎地域の6市町村にアートを設置し、この成功が全国に波及したといわれている。
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コミュニケーションのツールとしてのアート
結果としての作品を重要視するのではなく、まちの魅力を顕在化させるためやまちと市民、市民同士の新しい関係をつくるため、アートをコミュニケーション手段として使用(アートプロジェクト、ワークショップ)することある。(豊田市の川俣正氏の活動など)
●現代アートの定義
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現代アート = コンテンポラリーアート(同時代の芸術)
= モダンアート(近現代の芸術)
何でもありで多様なジャンルが含まれるが、現代社会への批評性や何らかの示唆が含まれているもの。ジャンルの自律性、自己言及性がキーワード。
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ピカソ(キュビズム)←セザンヌの影響
モチーフをいろんな方向からみて、様々な視点を平面に再統合した。
絵画の立脚点を問い直し、1450年代以降の遠近法による絵画を刷新した意義。
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マルセルデュシャン(レディメイド 既製品の芸術)
自己言及性=既成品の便器を美術館に作品として展示することで、そもそも芸術とはどういものかということを改めて問い直した。