第2回「就労現場における外国人とのコミュニケーション」セミナー
- 日時:
- 令和2年2月28日(水)午後2時~午後3時30分
- 会場:
- 暮らしの杜 葵ホール階段教室
- 内容:
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企業の技術職場に適した実践的日本語教育構築
~コミュニケーション言語能力基準の職場導入~講師に大手企業の日本語教育に関わる担当の方をお迎えし、就労現場の求める日本語能力と、日本語講師の人たちに求めたいことについてお話しいただきました。
- Ⅰ.語学の目標って何?
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- 就労者向け語学の目的は、職場での豊かなコミュニケーションの支援。
- 語学自体は目的ではなく、キャリアアップの手段。
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実践的な語学に的を絞った研修へ。
- 目標となる能力基準の策定
- 研修プログラムの開発
- 研修品質の担保(講師・クラス)
- Ⅱ.実践的会話能力の基準をつくる
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-教育機関とクライアントとが手を握って-
- CEFR(外国語を学習している人の言語運用能力を客観的に示すための国際標準規格)は能力基準として運用できるのか?
- CEFRオリジナルから新しい能力基準へ。(HD-Standardと命名)=CEFRの就労者向け解釈
- おおよそのイメージを固めて、評価者同士で合意する。
- 職場の期待する能力と目標基準との距離が近ければ、必ず受け入れられる!
- Ⅲ.就労者向けの目線とは?
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-職場ならではのニーズがある-
- 〇発音(音素の把握)・・・上級者ほど軽視。
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- 当座の目標は、「聞き返さなくても、何を言っているのか理解できる発音」。
- そのためには、職場の語彙の特徴を知ることが重要。
- 〇一貫性と結束性・・・会話になぜ論理性が必要か?
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- 結論を言わずに話し始めるのは、まるでクイズ
- 先に言ってくれると、たとえ会話力が弱くても、話の流れが推測できる。
- 必要な言語スキルは、接続表現。
- どの職場も、必須の言語スキルとして推奨。→意識的な強化へ。
- 〇口頭でのやりとり・・・会話の生産性を上げる。
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- 聞き返しができずに、黙ってしまう人は良くない。
理解できなかったのに、分かったふりをする人はもっと良くない。 - 同僚が話しかけたくなるかどうかの鍵を握る能力。→業務習得スピードに直結。
- 聞き返しができずに、黙ってしまう人は良くない。
- Ⅳ.導入の成果(道半ば)
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-目標能力基準に即したプログラム開発へ-
- 〇目標能力基準に即した研修を海外で!
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- 海外の連携体制の確立→日本に来る前に実践語学強化
- タイでの試行導入事例
- 〇学習者のマインドは確実に変化
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- 研修プログラム、テキスト、講師の養成等が整うことを待つ必要はない。
目標基準が浸透すれば、あとは自ずと流れができる。
- 研修プログラム、テキスト、講師の養成等が整うことを待つ必要はない。
- Ⅴ.日本語講師の人たちに求めたいこと
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-新人講師にもこのマインドを-
- 〇講師自身の日本語の使い方に気配りを。
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- カジュアルな口語で会話をしない。
- お客様である学習者に気を遣って、敬語を使いすぎない。
- オノマトペ、カタカナ外来語を使いすぎない。(もし言ってしまったら、理解を確認。)
- 〇「理解言語拡大のためには、認定する必要はない。」という意見もある。
- →理解言語はOJTで鍛えられるべき。研修では、使用言語拡大に重点を!
- 〇講師目線から学習者目線へ
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- 教えるべき言葉に優先順位をつける。
- 学習者に成り代わって、彼らが教わりたいことを想像する。
- 時には理解しやすい文法を優先する。混乱を招く例外は教えない。
- 〇体系化した手引きが本来必要・・・教育機関側の宿題?
- 《結び》開かれた、つながる教室へ。
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- 〇まず、クライアントとの間に壁はないと思うこと。
- ・・・薄いカーテンがかかっているだけなのに、お互い壁だと思い込んでいる。
- 〇そこで、カーテンを開けるきっかけが、会話能力基準。
- ・・・クライアントは日本語教育を語れる言葉を持っていないだけ。
- 〇自分から動く。そこに新鮮な世界が待っているのだから。
- ・・・わたし自身がそうでした。今、とても楽しんでいます。
(文責:事務局)